2016年11月24日
いつも“塗料屋あんず”をご愛顧下さいまして誠にありがとうございます。
日本塗料工業会(日塗工)の塗料用標準色 見本帳の最新版 2017年J版の販売を
開始いたしました。
この色見本帳は塗料塗装業界(特に建築関係)ではなくてはならない
日本国内の全塗料メーカー共通の色見本帳となっておりますので
この色見本帳の色票番号を伝えるだけで塗料の調色が可能となります。
(商品により調色不可もしくは近似になる色もありますが)
塗料メーカーが加盟する日本塗料工業会が2年ごとに内容の見直しを行い
発行しており、変色等によるトラブルを避けるため、一応見本帳には有効期限が
設定されていますが、発行年度により掲載されている色が多少異なるため
古い色見本帳にしか載っていない色も多数あり、最新版が発行された後も
古い見本帳を廃棄することはありません。
ですので過去に削除されてしまった色であっても調色が可能です。
発行年度を表すアルファベットはAから始まりB、C、D、E、F、G、Hと続きますが
I、N、O、Q、V、W、X、Zといった見間違いや聞き間違いやすいアルファベットは
予め省いてあり、Yまでいくと次はまたAに戻ります。
当店でも一部抜けている年度もありますが、最も古い物で1975年F版から
ストックを続けています。(実際ここまで古い物は必要ありませんが・・・)
今日はそんな日塗工見本帳の進化と変化を簡単にご紹介しようかと思います。
初版は、1954年に156色を掲載して発行されたようです。
1975年F版
1973年に起こった第1次オイルショックの影響により1973年E版より102色の
大幅削除が行われ、追加1色の掲載色123色という寂しい物になってしまいました。
1985年L版
第2次オイルショックを乗り越え、僅かずつながら掲載色を増やしていき
(途中、年度記号のみの変更という年もあったようですが・・・)
10年後の1985年には1983年K版をベースに56色を追加して222色を
掲載しました。
1987年M版
1ページの右端と左端、縦2列でそれぞれの色票を表示していた従来の色表示から
現在と同じ1ページの右端から左端まで縦1列で色票を表示する掲載方法になり、
色票表示面積が広くなりました。
1985年L版をベースに9色を追加して231色を掲載しました。
1993年S版
1985年L版から8年間で合計102色の追加と14色の削除を行って
310色を掲載しましたが、この年度を最後に色票番号の表記が変更になります。
削除された色も含め、旧色票番号での総色票数は429色あるそうです。
1995年T版
従来の数字三桁(無彩色は四桁)の色票番号から、現在も使用されている色票番号に
変更になり、322色を掲載しました。
色票番号だけで大凡の色目が分かるようになりましたが、ほとんどの掲載色
(基本的には全色)が変更になり、暫くはS版と常時2本を持っていました。
T版にのみS版掲載色との関連性を示した色の関連表も添付されていました。
2005年C版
その後、2001年A版までの6年間に削除色は無く合計28色を追加しましたが、
2003年B版では16色を削除、50色を追加し384色を掲載し、2005年C版では
1色を削除、一気に225色を追加して608色となり掲載色票数が大幅に増えました。
(価格も1.5倍に跳ね上がりましたが・・・)
更に、色票の配列方法を大きく見直し、従来の色相、明度に分類した上で彩度順での
配列方法から、現在と同じ色相、彩度に分類した上で明度順での配列方法に変更され、
大変見やすくなりました。
2007年D版
環境配慮型塗料への移行の流れを受け、全色で鉛・クロムフリー顔料を使用した原色で
調色を行い、また塗料の樹脂タイプも従来のNCラッカーからアクリル系ラッカーに
変更されました。
その影響でC版以前では鉛・クロム含有原色を使用していた同じ色票番号の色と比較
した際に光源によって色が異なって見える「メタメリズム」が起こることがあります。
(メタメリズム(条件等色)=太陽光下では同じ色に見えても、蛍光灯や白熱電球等の
下では色が違って見える現象)
2005年C版をベースに24色を追加し、632色を掲載しました。
2017年J版
最新版では2015年H版をベースに8色を削除、16色を追加した632色を掲載して
います。(2016年11月現在)
途中、一度削除になった後に復活掲載された色や、逆に追加された後に削除された色も
ありますので全てが入れ替わったわけではありませんが、2007年D版からの10年間に
5回の更新で合計140色もの削除と追加を行っております。
(2007年D版はある種非常に貴重だと言えます)
大きな変化があった年だけを抜粋して簡単にご紹介しましたが、
このように古い見本帳であってもその年の見本帳にしか載っていない色票がある可能性が
あり、決して無駄にはできません。
また、変色を防ぐためにも車のダッシュボードの上に見本帳を広げたまま放置したりせず
必ずケースに仕舞って大切に保管して下さい。